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2026-09-03 17:59:24
「相続」と聞くと、財産を受け取ることをイメージする方が多いと思います。しかし相続の対象になるのは、プラスの財産(預貯金や不動産)だけではありません。
借金などのマイナスの財産も、相続の対象になります。

「もし親に借金があったら、自分にも返済義務が生じてしまうのだろうか」——そんな不安を抱える方に知っておいていただきたいのが、「相続放棄」という制度です。
今日は、この制度の基本について整理してみたいと思います。

①相続放棄とはどんな制度か

相続放棄とは、相続人が「自分は相続人にならない」ということを、家庭裁判所に申し出る手続きのことです。

相続放棄が認められると、その方は法律上、最初から相続人でなかったものとして扱われます。
プラスの財産を受け取れなくなる代わりに、借金などのマイナスの財産を引き継ぐ義務からも解放される、という仕組みです。

②相続放棄が検討されるケース

相続放棄は、主に次のようなケースで検討されます。

・被相続人(亡くなった方)に、プラスの財産よりも借金の方が多いことが分かっている、または疑われる場合
・相続財産の内容がよく分からず、調べた結果、マイナスの財産が多い可能性がある場合
・相続に関わりたくない、他の相続人に財産を集中させたいといった事情がある場合

「借金があるかもしれないから不安」という段階でも、相続放棄という選択肢があることを知っておくだけで、心の負担は変わってくるはずです。

③相続放棄のメリットと注意したいデメリット

メリット

・借金などのマイナスの財産を引き継ぐ義務から解放される
・相続に関する話し合い(遺産分割協議)に参加する必要がなくなる

注意したいデメリット

・プラスの財産(不動産や預貯金)も、一切受け取れなくなる
・一度家庭裁判所に受理されると、原則として撤回できない
・相続放棄をすると、その方の子ども(代襲相続人)には相続権が移らず、次の順位の相続人(父母や兄弟姉妹など)に相続権が移る点に注意が必要
・相続放棄によって、他の相続人の負担(借金の相続分など)が増える可能性がある

特に、相続放棄をした結果、次の順位の親族に相続権が移り、その方たちが借金の存在を知らないまま思わぬ形で巻き込まれてしまう、というケースもあります。
相続放棄を検討する際は、こうした周囲への影響についても、可能な範囲で情報を共有しておくことが望ましいでしょう。

④相続放棄を検討する際の期限と進め方

相続放棄には、法律で定められた期限があります。
原則として、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に、家庭裁判所へ申述(申し出)をする必要があります。
この3ヶ月の期間は「熟慮期間」と呼ばれています。

「知った時」とは、一般的には被相続人が亡くなったことを知った日を指しますが、疎遠な親族の相続などでは、この起算点の考え方が複雑になることもあります。

財産や借金の調査に時間がかかり、3ヶ月では判断が難しい場合には、家庭裁判所に「期間伸長の申立て」を行うことで、熟慮期間を延ばしてもらえる可能性もあります。
ただし、この申立ても3ヶ月の期限内に行う必要があるため、「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、早めに動き出すことが何より大切です。

被相続人の財産状況がよく分からない場合は、まず預貯金通帳や郵便物、不動産の登記簿などから、財産と借金の大まかな状況を把握することから始めてみることをおすすめします。
判断に迷う場合は、早い段階で弁護士など専門家に相談することも選択肢の一つです。

相続放棄は、決して特別な事情がある方だけの制度ではありません。
「知らないまま3ヶ月が過ぎてしまった」という事態を避けるためにも、こうした制度があることを知っておくことが、いざというときの安心につながります。

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