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2021-10-25 16:09:09

 

事故物件の基準(ガイドライン)が決定!

 

 

 

不動産を買う・借りるという時に、ふと気になる「事故物件」

専門用語で言えば「告知事項」。

 

この事故物件を告知するかどうかについて、

「〇人名義が変わったら言わなくてもいい」

「○人借りる人が変わったら言わなくてもいい」

といった、都市伝説的な認識が多く根付いています。

 

 

では、実際にはどういう決まりなの?

 

 

当然、このように思われると思いますが、

実は「こうです!」というような決定的な決まりが定まっていませんでした。

 

 

え!と思うかもしれませんが、

基本「知り得た事実は伝える」という基本的な考えだけで、

あとは過去の判例任せでした。

 

そんな曖昧な決まりについて、

とうとう国土交通省が「ガイドライン」を作ってくれました。

 

宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

 

今回は、その内容についてお話ししていきましょう。

 

 

 

 

ガイドラインの適用範囲

 

 

 

本ガイドラインでは、まず「どんな不動産」について作成されたものなのか?

ということを知っておきましょう。

 

住宅として用いられる不動産(居住用不動産)とオフィス等として用いられる不動産を比較した場合、

居住用不動産は、人が継続的に生活する場 (生活の本拠)として用いられるものであり、買主・借主は、

居住の快適 性、住み心地の良さなどを期待して購入又は賃借し、入居するため、殺人、 自殺、事故死など、

人の死に関する事案は、その取引の判断に影響を及ぼす度合いが高いと考えられることから、

ガイドラインにおいては、居住 用不動産を取り扱うこととする。

                                       ガイドライン引用

 

上記の通り、オフィスなど人が暮らさない不動産へのガイドラインではなく、

人が暮らすための「住居用不動産」を対象として作られたガイドラインとなっています。

 

 

調査にあたっての留意事項

 

 

 

不動産業者は「人の死」が関係することが疑われる要因があるときは、

所有者に確認することが義務づけられ、所有者には、告知をしなかった場合

「民事上の責任を問われる」旨を伝えることも併せて伝えるべき事項となりました。

 

 

 

現実的な不動産実務では、売主様に「現況報告書」という心理瑕疵(事故)の可否を問い、

記録に残すことが多くなっております。

しかし、「土地」や「中古物件」については、当たり前に記録化させますが、新築物件に関しては

売主様によって違うので注意が必要です。

(基本的に、隠すようなことはしないのが常識です)

 

 

 

 

告知するべき事項とは?!

 

今までは全てを告知するという感覚、そう「感覚」で告知していましたが、

今回は、ある程度告知するべき内容について明確化されました。

 

 

【自然死が発生した場合】

老衰、持病による病死など、いわゆる自然死については、そのような死が発生することは

当然に予想されるものであり、統計においても、自宅における死因割合のうち、老衰や病死による

死亡が9割4を占める一般的なものである。

 

また、裁判例においても、自然死について、心理的瑕疵への該当を否定したものが存在することから、

買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いものと考えられ、原則として、告知は要しないものとする。

 

ただし、自然死が発生した場合であっても、取引の対象となる不動産において、過去に、人が死亡し、長期間にわたって

人知れず放置されたこと等に伴い、室内外に臭気・害虫等が発生し、いわゆる特殊清掃等が行われた場合においては、

買主・借主が契約を締結するかどうかの判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えられるため、これらを認識

した場合には、告知を要するものとする。

                                                     ガイドライン引用

 

自殺や殺人などの事件性がある内容や、社会的に見て大きな騒ぎとなったような事については告知義務が発生しますが、

「自然死」または「不慮の事故」については告知が不要となりました。

  

しかし、孤独死などにより腐敗が進み「特殊清掃」が必要となった場合には、

トラブル防止の観点から「告知するべき」と定められております。

 

 

 

 

賃貸の告知必要期間がある!!

 

 

以前からそうですが、賃貸物件と売買物件とでは告知義務の重さが違います。

確かに借りる物件と買う物件とでは重みが違って当然ですよね。

 

 

そんな考えから、

今回のガイドラインも賃貸物件への取り決めは売買とは少し内容が変わります。

それは「告知期間」を定められている事です。

 

売買物件に期間の定めはありませんが、

賃貸については「3年間は告知する」と定められています。

 

つまり、3年を経過すれば告知しなくてもよいという事になりました!

 

これは少し怖いですよね・・・

 

 

しかし!

事件の度合いが大きく、社会通念的に騒動が多大だった場合

この限りではないようです。

 

少し安心ですが、ちょっと抽象的だと感じたのは私だけでしょうか。

 

 

 

 

〜まとめ〜

 

今回のガイドラインを読み解くと、ポイントは「自然死」による告知を明確化したように感じました。

高齢化社会ゆえに住宅内で亡くなることが増え、どこまで伝えるべきなのかをある程度取り決めする意味で

作られたように感じます。

 

しかし、事実を知り得ていて伝えなかったとしたらいかがでしょうか。

不誠実ですよね。

 

新しくガイドラインができて、内容がわかりやすくなりましたが、

不動産のプロとして「知り得た事実」はきちんと伝えていきたいと思います。



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